首席とおちこぼれと天才と

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「さて、地方と中央にある軍隊学校の違いは知っているかしら?」 知ってる。 バルデス国には5つの軍隊学校がある。 東西南北の地区都市に一つずつあり一般兵士を育成する地方軍隊学校。 16才になれば誰でも入れるが16才以下は入れない。 城下町にある中央軍隊学校ではエリートを育てる為に地方とは異なるカリキュラムが組まれている。 それが魔術や召還術の訓練。 地方の軍隊学校ではそれらの訓練はなく肉体のみの訓練を行う。 中央の学校は試験に年齢制限がなく実力が伴えば誰でも受ける事が出来る。 「あのー、私知らないんですけど」 エミルが手を揚げる。 彼女を驚きの顔で生徒達が一斉に見る。 生徒達の驚きは当然よね。軍人を目指す者誰もが知る知識を恥ずかし気もなく手を挙げたのだから。 私は馬鹿ですと公言している様なもの。 …まぁ、だからこそ落ちこぼれなんだけど。 「ならまずそこから話そうかしら」 人間が出来ているのか水瀬隊長は嫌な顔せず説明を始める。 「知らないのは一人だけか?」 口を挟んだのは宗谷隊長。 エミルを除く生徒達は勿論知っている。誰も手を挙げない。 「かぐや、説明は省いていい」 「え?でも…」 宗谷隊長は水瀬隊長の言葉を遮り続けて話す。 「一人の為に時間を割くなど馬鹿げている。手を下ろせ、エミル=ガフリエフ」 悲しそうに手を下げる。 誰も同情などしない。 寧ろ、皆から冷たい視線を送られている。 「じゃ、ここであなた達が何を学ぶのかについて話すわね」 水瀬隊長の生徒達はノートを取り出した。 …くっ。私も書き残して置きたかった 「優秀だな。かぐやの生徒達は」 私達に視線を送る宗谷隊長。 ((あんたが何も言わず連れてきたんだろ!!)) 宗谷組(?)の生徒達は心の中で叫んでいた。
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