首席とおちこぼれと天才と

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みえなかった…。 水瀬隊長が宗谷隊長に殴りかかったのか…。 しかし、水瀬隊長の拳は宗谷隊長には届いていない。 2人の隊長の間にアンジェラさんが割って入り水瀬隊長の拳を掴んでいる。 「……そこをどいてくれないかしら?」 水瀬隊長は敵意の目をアンジェラさんに向ける。 「無理ですよー。腐っても純は私達の隊長ですからー」 「……」 「……」 しばしの沈黙の後、水瀬隊長は拳を収めた。 「……いい部下を持ってるわね」 「ああ」 そう言うと水瀬隊長は腕を組み 壁にもたれかかった。 「話しを戻そう。」 宗谷隊長は先程のやり取りの中でも視線を動かさず私達を見ていた。 「知っている者もいるだろうが。三番隊の任務は常に最前線、死と隣合わせにある」 死。 体が震えるのを精一杯耐えた。 この人がその言葉を使うとこれ程重いものなのか。 「私と違い、かぐやはお前達の実力に応じた任務を与えてくれるだろう。遠慮はいらん、少しでも迷うのであればここへ残れ。」 そこまで言うとアンジェラさんと出て行った。 残された宗谷組の生徒達は動けずにいた…。 (どうすればいいのよ) ここに残っていいの? いや、宗谷隊長が独断で決めた事だからきっと許されない。 けど…。 覚悟はしているつもりだった。 軍人になると決めた日から死も厭わないと…。 甘かった。 宗谷隊長の一言にこれほど揺さぶられるとは考えが甘すぎた。 動けない。 そんな私達を見かねてか水瀬隊長が話し始める。 「残りたい者は残りなさい。私からも総大将には掛け合うわ」 優しさに溢れたその言葉は私にとって救いなのか……。 「参考になるかわからないけど一つだけ宗谷隊長について話しておくわ。彼は……」
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