首席とおちこぼれと天才と

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あれから二時間経過。 教室は独特な空気を漂わせている。 私の前に座る生徒は伸ばした震える手を自分の手元に持って行く。 生徒が手を開くとそこには『北』と一文字だけ書かれた長方形の石。 ……生徒は十字を切りその石をテーブルへ捨てる。 「南無三!」 願いは届かず…… 私は生徒に向かい『力ある言葉』を放つ 「ロン、国士無双。役満だ」 「くおおお!」 生徒に雷が降り注ぎ 生徒は音を立てて崩れ落ちる。 「何やってるんですか!?」 叫んだのは片倉 涼子。 何故か先程から怒ってばかりいる。 「麻雀知らないのか?」 「違いますよ!授業もしないで麻雀ってやる気ないんですか!?」 無論私は遊んでる訳ではない。 だが涼子は納得出来ないと説明を求める。 「片倉 涼子、これは訓練なんだが?」 そう訓練だ。 私はルナからもらった彼らの成績表を下に一人ずつに指示を出した。 今私の前に崩れ落ちた男子生徒には直感力を養いさせる為に麻雀を打っている。 ババ抜きとかでも良かったのだが麻雀が打てると言ったので私が相手をしている。 「やる、やらないは自分で決めろ。だが訓練をしている彼の邪魔をするな」 涼子にも訓練を与えているがこの2時間私の出した指示に従わず読書をしていた。 しかし、涼子以外の生徒は私に従いそれぞれ訓練をしている。 「……本当に強くなれるんですか?」 「わからん」 涼子が私を睨みつけるが、こればかりは本当にわからない。 「ぶは~!!」 エミルが汗だくで帰って来た。 「た、隊長~教室一周終わりました~」 エミルの訓練は教室の周りを歩いて戻ってくる事。 ただし、凶悪な囚人を抑え込む為に用いる術をエミルに施している為、立つのもキツいだろう。 「もう一周だ」 「は~い!」 返事をすると前に進むエミルだが何かに引っ張られる様に後ろへ転ぶ。 「キョエ~!」 奇怪な声を上げるエミルを見て涼子が私に問い掛ける。 「どんな術をかけたか知りませんがあれが訓練とはとても思えません」
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