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「片倉 涼子、ひとつ私と勝負しないか?」
このままでは涼子は訓練をやらないだろう。
それは別に構わないがどうせなら彼女には踏み台になってもらおう。
「勝負ですか?」
「一週間後、訓練を受けている生徒達の中から一人、お前と実践形式で戦ってもらう」
「いいですけど。一週間後でいいんですか?」
負けるなど微塵も思ってないのか表情一つ変えない。
彼らが一週間程度で自分に追いつくとは思ってない様だな。
「片倉 涼子。お前が勝ったら私の出来る事ならなんでも一つ叶えよう」
「私が負けたら?」
「別に何もしない」
「それはつまらないです。何か考えて下さい」
考えろと言われてもな……
涼子から欲しい物なんて何もないんだが。
しばらく考えたが何も浮かばない。
「勝負の事は忘れろ」
考えるのが面倒くさくなり麻雀の牌をかき混ぜる。
「ち、ちょっと、勝負を持ちかけておいて逃げるんですか!?」
「勝った時の景品が浮かばない。席に戻っていいぞ」
「わ、わかりました!私が考えますから!そうですね……私が負けたら宗谷隊長の訓練を受けます」
無理して受けてもらう必要はないんだがな。
「わかった」
どこかホッとした様に胸をなで下ろした涼子は席に戻り本を読み出した。
私は麻雀を再開した。
「ペギャ!」
教室には牌をかき混ぜる音とエミルの奇声が響きわたる。
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