首席とおちこぼれと天才と

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「……隊長。それを着ていて何ともないんですか?」 羽衣の[声]を聞いたエミルが心配そうに私を見る。 「私には無害の代物だ。それに普段は抑えているから周囲に影響もない」 「そうですね。今はなんともないです」 恐る恐るコートを触りながらエミルが言うと生徒達も戻って来た。 「時間を大分、無駄にしたな。お前達、訓練に戻れ」 生徒達は訓練を始めた。 - - - - - - -  授業の終わりを知らせるベルが鳴った。 「今日はこれまで」 『……ました』 生徒達はピクリとも動かない。 いや、動く影が一つ。 「どこへ行く。片倉 涼子」 「帰るんですけど」 「一人でか?」 「……」 返事がない。 「ただの屍のようだ」 「生きてます」 「なら、エミルと帰れ」 「……わかりました」 涼子はエミルに近づき鼻を鳴らす。 「行くわよ」 エミルは慌てて立ち上がり、教室を出る涼子の後について行く。 他の生徒達もフラフラと教室を出て行った。 生徒達がいなくなると窓際に向かい帰宅する生徒達を見る。 「あの二人気に入ったのー?」 隣に立ち、窓を開き外を覗くアンジェラ。 早足で歩く涼子の後を追いかけるエミルの姿が見える。 「いや、奴らに興味はない」 あの二人は能力だけなら良いものを持っているが、即戦力にはなりそうにない。 使えるまで時間が掛かりそうだ。 「ルナ、他の隊から手頃な任務を一件貰って来てくれ」 ミルクと手を繋いで帰るルナを呼び止めるが歩みを止めず教室を出て行く。 「机の上に置いてます」 仕事が早いな。机の上に置かれている紙を取る。 「こんな任務受けるのー?」 覗き込んだアンジェラが任務のランクを見て聞いてくる。 「生徒にやらせる。私も同行するがな」 力を見定めるには実践が一番手っ取り早い。 外には夕日を浴びて帰る一人の生徒の姿。 ……コレも何かの縁か。
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