首席とおちこぼれと天才と

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お金が欲しい……。 父さんは私が物心つく前に他界した。 お母さんは私を女手一つで育ててくれた。 ……早く、一流の兵士になって、お母さんに楽をさせたいな。 「涼子ちゃん、どこ行くの?」 名前を呼ばれ立ち止まると寮の前を通り過ぎていた。 「き、今日の夕飯の材料買いに行くわ」 何故か考え事をして行き過ぎてしまった事が恥ずかしく嘘をついた。 その辺を少し散歩して帰るかな……。 「涼子ちゃん、待って」 なんで着いて来るのよ。 「なんで着いて来るの?」 エミルは頭にハテナマークを出して答える。 「隊長が一緒にいろって言ってくれたから」 ……そうだった。 学校が終われば、二人一緒にいろとか言ってたわね。 まさか…… 「あなた、部屋まで一緒だと思ってないでしょうね?」 「え?違うの?」 ……思ってました。 「部屋まで一緒なんていいから。宗谷隊長は半分冗談でいったのよ」 多分。 「え!?そうなんだ……」 何故、残念そうにするのかしら? 私があなたを嫌いな事、知ってるでしょうに。 「とにかく、宗谷隊長の目もあるから学校から寮までは一緒だけど後は別行動!いいわね?」 「う、うん」 返事をもらった私は彼女から離れ人混みをかき分け進む。 - - - - - - - - - - 次の日。 寮の部屋を出るとエミルが待っていた。 会わずに学校へ行くつもりで早く部屋を出たのに。 「おはよう!」 「……おはよう」 朝からテンションの高いエミルと学校へ向かう事になった。 学校までの道のり、エミルは色々と話してくるが私はことごとく無視して急ぎ足で学校へと向かった。 今日も一日読書か……後、六日……長いな。
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