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ルナは必要のない事は話さない。
今朝の山田との一件をかぐやが知らせに来た時、ルナは私の問いに答えなった。
追及すれば話すだろうが……無理に聞いて傷付けるのは極力避けたい。
……我ながらルナに甘いな。
「失礼する」
五番隊の教室に入った。
「……なんじゃい」
山田が睨む。ルナにやられたのか髪が凍っている。
「済まないな。理由は知らないが迷惑を掛けた」
頭を下げ謝ると山田は鼻息を鳴らし顔を背けた。
「月島の奴、入って来るなり攻撃魔法を放ってきたわい!」
いきなりか……
「頭はその時の名残か?」
凍った頭は日の光を浴びキラキラ光っている。
「これはその後じゃ!?花子の服装がどうとかで俺がひとつしか言えんかったら凍らせられたわい!」
それでどうして攻撃されるんだ。
「そういえば、俺は花子の服ひとつしか見たことないの~」
そんな事はどうでもいい。
「私はこれから任務で来週まで留守にする。何かあれば、かぐやに伝えてくれ」
そう言って私は教室を出た。
晴斗とレイミは任務の準備の為に寮に戻った。
私は今、二人を駅で待っている。
「すいません!お待たせしました!」
「構わない。行くぞ」
二人を連れて列車に乗る。
最近開発された魔力と電力で走行する列車。
(純が協力してくれないから完成に三年も掛かったよ)
晶がそんな事言ってたな。
私は十分、協力したつもりだが。
「うわー!これが軍指定席ですか!」
晴斗は、はじめて来た指定席に感動する。
一般席と違いかなり広く造られ、椅子とテーブルが設置されている。
私達以外には誰もいない。
珍しいな、いつもなら満席とまではいかずともそれなりに乗っているんだが。
「好きな場所へ座れ」
『はい!』
返事をすると2人は席に座る。
……席は沢山ある、他に人もいないのに何故私の向かいに座るんだ。
何か聞きたい事でもあるのか?
「隊長、どうして俺達だけ任務に連れて行くんですか?」
ツンツン頭の晴斗が質問して来た。
何故か顔がにやけている。
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