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陸の移動手段は2つ。
町と町を繋ぐ列車による移動と徒歩での移動。
森林地帯行きの列車などある訳なく、私達は、デコボコな道をひたすら歩き続けている。
「ああ、俺も隊長みたいに空を飛べねえかな」
木島君は歩くのに疲れたのかそう言って持っているドリンクを一気に飲み干す。
「そうだね」
魔法による飛行手段は現在も開発されてはいるらしいけど全く進展はないね。
飛行する為の手段は今のところ一つだけ、隊長の様に神が創ったと云われる武器や防具……[魔具]の力を借りるしかない。
そんな代物を私達の様な一兵卒が持てる訳ないし。持っていたとしても奪われてしまうね。
「おい!なんだコイツ!?」
木島君が指差した先にはのそのそと動く影。
「岩肌牛だね」
岩肌牛。
読んで字の如く、牛の全身が岩でできた生物。
性格は非常に温厚で……
「レイミ、離れていろ!俺がやる!?」
剣を抜き岩肌牛に向かい吠える木島君。
「うおおおお!?」
カン!
なんとも間の抜けた 音が響く。岩肌牛は頭を斬られ(叩かれ)て頭をブルブルと振っている。
「うおおお!?」
カン!カン!カン!
腰の入ってない木島君の剣は岩肌牛の硬い表皮の前に弾かれているだけでダメージは与えていない。
「ふへっ!?」
ダメージは与えてないが不快感は与えていたらしく、岩肌牛に頭突きをされてぶっ飛ばされた。
「木島君、岩肌牛は……」
「手出し無用!?これは俺の闘いだ!」
うん……言ってる事はカッコいいよ。
けど、岩肌牛ってこちらが何もしなければ何もしないんだよ?
岩肌牛は狗猿とは違い猛獣扱いもされてない。
その温厚な性格から中央の動物園では放し飼いにされ、子供達の人気者だったりする。
「ぐはっ!」
また頭突きをくらいぶっ飛ぶ木島君。
「ふっ、やるな!」
多分、世界初じゃないかな。
岩肌牛を好敵手の様にみる人は。
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