首席とおちこぼれと天才と

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頭は狗と言われると見えなくもないけど。 体は爬虫類に似ていて鮮やかな緑色、発達した脚は二足歩行を可能にしている。 「うん、そうだよ」 木島君は剣を抜き身構える。 戦闘力は低いけど弱虫ではないのか……それとも、ただのお馬鹿さんかな? (……どちらにしても私と正反対だね、木島君) 「木島君!私の銃じゃ狗猿は倒せない!弱った所に止めをさして!?」 「任せろ!?」 止めさえさせれば木島君なら自分が倒したと隊長にも言うはず。 こちらの動きを警戒する群の奥に一際大きな狗猿がいる。あれがボスだね。 「ウォォォォォ!!」 狗猿のボスが天に吠える! それが戦いの合図だった。 狗猿が一斉に襲いかかって来る。 私は狗猿の群に吸い込まれる様に飛び込む。 私の武器は銃。距離を取って戦うのが普通……けど。 チラリと後ろを見る。遠すぎず近すぎず、木島君との距離はココでいいかな…… 足を止め、一番近くにいる狗猿に照準を合わせる。 ドン!!ドン!! 狗猿の頭部に命中するが少しだけ怯むだけでダメージはない。 (火力が足りないか……) 対獣弾で撃ったなら狗猿の頭を撃ち抜けるけど。 それだと狗猿を倒してしまう。 「ガアァァァ!」 頭を撃たれた狗猿は鋭く尖った爪を振り下ろすが軽く横にステップしそれをかわす。 ヴン。 実弾に少量の魔力を込め狗猿を撃つ。 ドン! 「ギャッ!」 狗猿の腹部に当たり木島君の近くに倒れ込んだ。 「木島君!」 「おう!」 木島君の一振りは狗猿の首を胴体から切り離した。 「レイミ!俺が倒したぜ!」 返事をしたいが私は二十頭はいる狗猿を殺さずに戦わないといけない。 返事を返す余裕はない。 魔力を込め過ぎると狗猿を容易に殺してしまう。 狗猿は仲間が殺された怒りでか、はたまた弱い者を狙う習性か木島君に襲いかかる。
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