首席とおちこぼれと天才と

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狗猿が術を使えるなんて聞いた事ない。 ……。 「木島君、お願いがあるの」 木島君は話す事もキツくなり喋らずに私をみる。 「今から私がアイツ倒すけど隊長やみんなには黙っててくれる?」 木島君が頷いてくれたのを確認した私は狗猿に向かって走る。 陣はまだ完成してない…… 陣を創る時はその場を離れる事が出来ない。 私は頭を狙い撃った。 「ギャッ!」 痛みに意識が乱れた陣は消失した。 ……私の意識も飛びそうだ。 「ウォォォォォ!!」 吠えると同時に無数の魔力を生み出す。 ……次で最後ね。 私は立ち止まり弾の入ってない銃に魔力を込める。 実弾は必要ない。 「ウォォォォォ!!」 狗猿は先ほど私を切り裂いた風の魔法を放った。 私は引き金をひいた。 銃口から青い光球が撃ち出される。 弾の代わりに撃ち出したのは水の魔法。 その威力は狗猿の断末魔を聞くこともなくこの世から消滅させた。 「……ふう」 狗猿のボスを倒し、今度こそ安堵のため息をした。 (木島君を治療しなきゃ) 木島君を治療する為に振り返ると木島君の前に人が立っている。 漆黒のコートに身を包んだその人は私達の…… 「よくやった、レイミ=クリスマス」 「……隊長」 ……見られた。 私は震えを必死抑えようとするが止まらない。 「レイミ=クリスマス。まず、その傷を治せ」 そうだった。私の傷……致命傷では……直さ……いと…… 意識が薄れ視界が闇に染まる。
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