623人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
狗猿が術を使えるなんて聞いた事ない。
……。
「木島君、お願いがあるの」
木島君は話す事もキツくなり喋らずに私をみる。
「今から私がアイツ倒すけど隊長やみんなには黙っててくれる?」
木島君が頷いてくれたのを確認した私は狗猿に向かって走る。
陣はまだ完成してない……
陣を創る時はその場を離れる事が出来ない。
私は頭を狙い撃った。
「ギャッ!」
痛みに意識が乱れた陣は消失した。
……私の意識も飛びそうだ。
「ウォォォォォ!!」
吠えると同時に無数の魔力を生み出す。
……次で最後ね。
私は立ち止まり弾の入ってない銃に魔力を込める。
実弾は必要ない。
「ウォォォォォ!!」
狗猿は先ほど私を切り裂いた風の魔法を放った。
私は引き金をひいた。
銃口から青い光球が撃ち出される。
弾の代わりに撃ち出したのは水の魔法。
その威力は狗猿の断末魔を聞くこともなくこの世から消滅させた。
「……ふう」
狗猿のボスを倒し、今度こそ安堵のため息をした。
(木島君を治療しなきゃ)
木島君を治療する為に振り返ると木島君の前に人が立っている。
漆黒のコートに身を包んだその人は私達の……
「よくやった、レイミ=クリスマス」
「……隊長」
……見られた。
私は震えを必死抑えようとするが止まらない。
「レイミ=クリスマス。まず、その傷を治せ」
そうだった。私の傷……致命傷では……直さ……いと……
意識が薄れ視界が闇に染まる。
最初のコメントを投稿しよう!