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それを生徒達は半信半疑で聞いている。
「アンジェラ、何故、木島 晴斗を連れていけと言ったんだ?」
窓を開けタバコを吸っているアンジェラに聞く。
狗猿との戦いを一部始終見ていたが、才能の片鱗すら感じられなかった。
「んー?彼がいた方がレイミも本気を出しやすいと思ってー」
アンジェラは今も必死に自分の勇姿を語る晴斗を見て笑う。
「足手まといがいた方がやり易いでしょー?」
なるほどな、それなら納得出来る。
「た、隊長ー!皆に言ってやって下さいよ!俺がどれだけ勇敢に戦ったか!?」
誰も信用してくれなかったのか泣いて私にすがりついて来た。
「私がついた時、お前もレイミも気を失っていた。お前の勇姿は見れていない」
そう言う事にしている。
レイミの為ではない。
狗猿を倒した事を私に誇らしく話して来た晴斗の為にここは合わせますとレイミが話しを作り上げてそれに従っている。
晴斗は一瞬ガッカリしたがすぐに生徒達に話し始める。
「たた、隊長!?」
任務の報告書を提出させに行かせたレイミが勢いよく入って来た。
「な、何ですか!こ、このお金!?」
任務の報酬が書かれた紙を私の顔に近付ける。
「狗猿の任務の報酬だが?」
レイミは紙と私を交互に見て口をパクパクさせている。
「お!?俺にも見せてくれよ!」
晴斗は紙を取り、目を通すとレイミと同じ様に口をパクパクさせる。
……二人して同じ顔で見られると面白いな。
「三番隊は任務の報酬は受けた者で平等に振り分ける。今回は低ランクの任務だから少ないがな」
『十分ですよ!?』
声をハモらせて二人は言った。
そういえば、アンジェラが初任務が終わった時も同じ事があったな。
「そ、宗谷隊長、先程は失礼しました」
涼子がさっきの服から軍服に着替えて謝ってきた。
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