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「宗谷様、私この怒々苑の店長を務めている者です。恐れながら宗谷様にお願いがありまして呼ばせて頂きました」
ペコペコと平謝りをする店長は私に一枚の紙を渡した。
「実は商売上、お酒なども置いているのですが、飲み過ぎたお客様が度々暴れる事がありまして……」
話しが見えない。
「宜しければ、店に来て頂いたお客様が飲み過ぎない様、宗谷様に一筆頂けたらと思いまして」
そんな事か。
私は適当に書いて店長に渡した。
「有難うございます!いや、助かりました!」
店長と店員は深々と頭を下げた。
私は用事を済ませ部屋へと戻る。
「凄いな」
帰った私が見たものは席を離れ騒ぐ生徒達。
酒も入ってる奴もいる。
私がいた席にはエミルが座っていた。
「宗谷!ちょっと来い!?」
酒に酔った山田が私を呼ぶ。
絡み酒か……面倒くさい奴だ。
「こいつに言ってやれ!?」
何をだ?
指差した先にはルナがいる。
座る場所もないし山田の隣に座った。
「月島にの~。何故攻撃したか聞いたのよ!?」
私達が任務へ赴いた日の事を言ってるのだろう。
「月島はな~!花子が服を一着しか持ってなかった事に怒ったんじゃ!?」
そうだったのか。ルナは山田を無視してミルクに焼いた肉を食べさせている。
「そんな事で攻撃魔法ぶっ放すか普通!?」
しないな。
一着でも別に構わないだろうに何がそんなに気にくわないのか……。
「今着ているのがそれか?」
ミルクは今貴族が着てる様なドレスを着ている。
焼き肉屋では合わないなその格好。
「これは私が買った服です。それまではこれでした」
取り出したのは農村の娘がよく着ている服。
ボロボロになり穴が空いた所を別の布を上から縫い合わせている。
「山田変態長、あなたはミルクの兄失格です」
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