焼き肉パーティー

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「そろそろ帰るか」 ほとんどの生徒は食べ過ぎで座る事も出来ず、ごろ寝している。 『はーい』 何人かの生徒が返事をしたので立ち上がり部屋を出ると続いてゾロゾロとついて来る。 「隊長あれなんですか?」 エミルが指差す方向には壁に一枚の色紙が額にいれられて飾られている。 その上には 【宗谷 純、お気に入りの店】 と書かれている。 色紙は私が頼まれて書いた物だ。 「【酒は飲んでも呑まれるな】か、いい事書いてるじゃない」 かぐやが感心した様に頷く。 「そうだねー。どんだけ酔った客もこれ見たら店の中で暴れないよねー」 アンジェラの言葉に皆頷く。 私に失礼じゃないか? 一般人に手を出した事など一度もないぞ。 「……宗谷隊長」 レジで店員の会計が終わるのを待っている私に涼子が小声で話す。 「私、本当に食べ過ぎちゃったんですが……」 何か申し訳なさそうに話す。 むしろ食べない方が私に失礼だろうに。 「お会計こちらになります」 ルナが言ったとおりの金額でちょうどよかったか。 念の為に少し多めに持ってきたのだが。 「ひぃえー!」 涼子がレジの画面に出された金額をみて奇声を上げる。 「すすす、すいません!!必ず出世して返しますから!?」 今にも土下座しそうな涼子に頭を上げる様に言って会計を済ませる。 皆は店の外で待っていた。 「隊長、ごちそうさまでした!」 『ごちそうさまでした!』 晴斗に続き皆がお礼の言葉を言った。 皆、満足してくれた様だな。 「もう、遅い。遊んで帰るのは構わないがほどほどにな。解散」 そう言うと散り散りに消えていった。 「アンジェラ、レイミ。次の任務で話しがある。私の家まで来てくれ」 自宅へと向きをかえて歩く私の襟をかぐやが掴んだ。 「私を一人で帰らす気?……百歩譲ってそれは許すわ。けど任務の話しならここでもいいんじゃないかしら?」 「S級だ」 かぐやは手を離した隊長ならこれだけでわかる。 同じ隊長でもこれ以上は何も言えない、聞いてはいけない。
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