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「それまでなら事態は収拾できたんじゃが……水瀬の親父さんがその光景を見てしまっての……」
かぐやの父親は国の重臣の一人でかぐやを溺愛している。
そんな光景を見ればあの男の事だ……
「それで親父さんは激怒してお前を斬り殺そうと襲いかかっての。あの親父さんを止める事は俺達には……わかるじゃろ?」
かぐやの父親は文官でありながら若い時には爺と互角に渡り合ったらしい。
私も城で行われる武闘大会で何度か手合わせしたがその強さは本物だった。
「水瀬もさすがにマズいと思ったのか。その場しのぎにお前を恋人って言っての」
その場しのぎなら私達は何故付き合っている?
「親父さんがお前に証拠を見せろといってな」
私が望んでそうしてる訳じゃないがその状況を見て納得しなかったのか。
「そしたらお前がとんでもない言葉を言ってな。こっちが恥ずかしかったわい!」
私が?
『お父さん、私は誰よりも彼女を望みます。それが叶わないならこの場で私を殺して下さい』
「……嘘だろ?」
「本当じゃい!?」
山田は顔を赤くして「ああ恥ずかしい」と顔を雑誌で扇いでいる。
「まあ、それからじゃな。お前達が付き合い始めたのは」
……。
私がそんな事言うはずない。
しかし、山田が嘘をついている様にも見えない……。
「そうか、邪魔したな」
私は立ち上がり部屋を出る。
と、その前に。
「山田、爺と私がゲームをやっている時腹を狙えとお前も言ったのか?」
山田は目を背ける。
言ったのか。
「今回は許してやる」
そう言い残し部屋を出た。
部屋を出た私はある場所へ向かう。
かぐやの父親に話した時おそらく私の意識はなかっただろう。
山田の部屋から数十分歩けば目的の場所に着いた。
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