兵士のお仕事

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今日は涼子ちゃんと勝負する日。 正直……勝てる気がしない。 隊長の訓練を受けて強くなったとは思えない……。 そもそも、五日間の訓練で涼子ちゃんに追いつけるとは思えない。 万が一、私が勝ったとしたら涼子ちゃんは私を好きになってくれるかな? 私をさらに嫌いになるんじゃないかな……。 今日は一人で登校している。 涼子ちゃんから今日は別々に行きましょうと言われたから。 「エミルちゃん、おはー」 声をかけられ振り返るとアンジェラさんとレイミちゃんがいた。 「お、おはようございます!」 「いやー、今日も元気一杯だねー」 アンジェラさんはいつもと同じ笑顔を向ける。 けど、レイミちゃんは…… 「レイミちゃんどうしたの?」 「……大丈夫、ちょっとまだ頭痛がするだけだから……」 顔色も悪い様に見えるけど本当に大丈夫かな? 「エミルちゃん、今日はタイマンの日だねー」 アンジェラさんは楽しそうに笑うけど私は笑えないよ。 「エミルちゃんー、もしかして勝てないと思ってるー?」 「……はい」 涼子ちゃんの力は隊長やアンジェラさんより私の方が知っている。 ずっと見てきたから。 「エミルちゃん、なんで嫌われてるか分かるー?」 「……はい」 え? アンジェラさんはニコニコと笑っている。 「り、涼子ちゃんが私を嫌う理由わかるんですか!?」 「お姉さんに分からない事はないんだよー」 「教えて下さい!?」 「むりー」 泣きそうになった。 「私が言っても意味なぁいしねー」 アンジェラさんは私の頭を撫でてそう言った。 「本気で知りたいなら全力でいきなさいー」 アンジェラさんは「頑張りたまえ若者よ」と言って先に学校へと向かった。 そうだよね……。考えても分からないなら全力でぶつかるだけ! 私は学校へと走って行った。
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