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「……嘘よ」
「り、涼子ちゃん……」
差し伸べられた手を振り払い涼子は立ち上がる。
「こ、こんなの有り得ないわよ!?」
今日は涼子とエミルの対決の日。
勝負は昼からと告げた私に涼子は今からで構わないと準備をし始める。
エミルも了承した為、授業のベルが鳴ると私は生徒達を連れ修練場へ向かった。
審判などいない。
実戦形式の為どちらかが気絶するか降参するまで続ける。
「はじめ」
戦いの合図とともに両者構える。
先に涼子が動いた魔力を無数に生み出し雷属性の魔力を自らの体に纏いエミルとの距離を縮める。
「速い!ヤバいぞエミルの奴!!」
涼子の纏う魔力の濃度に生徒の一人が叫ぶ。
速い……か。
先手必勝。
涼子の性格から一瞬で勝負を決めて実力差をみせるつもりだったのだろうが……。
ドサッ。
涼子はエミルを通り過ぎると床に倒れた。
生徒達は何が起きたかわからず目を丸くしていた。
アンジェラもレイミも何が起きたのか分かっていない様だ。
涼子と戦っていたエミル本人さえ今の状況を理解してない。
ルナだけはかろうじて感知した様だ。
表情に出さない様にしているがかなり動揺しているな。
「エミル=ガブリエフ、お前の勝ちだ」
「私の……勝ち?」
エミルは勝ったという自覚が持てないのか……呆然としている。
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