兵士のお仕事

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「ルナ」 「はい」 ルナは涼子に近づき胸に手を置き雷属性の魔力を涼子に注ぐ。 涼子の体が大きく揺れる。 「ぐっ……。ごほっ」 何度か咳をし涼子は目を覚ました。 「……月島……副隊長?」 「お疲れ様です、涼子」 状況がわかってない涼子にルナはそう告げると彼女から離れた。 「片倉 涼子、お前の負けだ」 「う、嘘よ」 そう言いながらも倒れた自分を見下ろした形で見るエミルと目が合うと負けた事を理解し顔が青ざめる。 「り、涼子ちゃん」 エミルが差し出した手を振り払い立ち上がる涼子。 「あ、有り得ないわ!」 涼子は周りを見るが誰も彼女の敗北を否定はしない。 「……嘘よ!嘘よ!嘘よ!?」 「待って、涼子ちゃん!?」 この場を走り去ろうとする涼子をエミルが呼び止めるが止まらない。 「試験をトップ通過した片倉 涼子ともあろう者がそんなベタな事やらないよねー?」 アンジェラの一言に涼子の動きが止まった。 「アンジェラ、涼子がそんなべった、べたな事する訳ありません」 追撃をかけるルナ。 「あれー?涼子ちゃんどこか行くのー?」 アンジェラの次の言葉で涼子は私の方へと凄まじい速さで戻って来た。 「……宗谷隊長、何があったのか教えて下さい……」 目に涙を溜めて話す涼子。 アンジェラとルナに遊ばれてるな。 「そうだな、エミル=ガブリエフ、お前は自分が何をしたか分かるか?」 「……えっと、魔力を放出しました……」 「だそうだ、片倉 涼子」 「……納得出来ると思いますか?」 無理か。 ならルナに…… 「純、私も説明して欲しいです」 ルナもわかってるだろうに確信が持てないのか。 「片倉 涼子、お前は酸欠で倒れたんだ」 『…え?』 皆の声が見事にハモった。 「エミル=ガブリエフが放出した風の魔力の力で……」 「待って下さい!陣も描かずにそんな事出来るはずありません!?」 私の話しを遮り涼子が話しを否定する。 信じられないか。
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