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魔力はこの世界に具現化させると必ず属性がつく。
属性と言っても雷なら痺れる程度。
高ランクの術者でも一般人が気を失う位の威力しかない。
同じ属性の魔力と魔力を重ねると威力が高まり魔法となる。
エミルは自分の周りの酸素濃度を換えて真空状態をつくったのだがそんな事は陣を描くか呪文を唱えなければ出来ない。
「エミル=ガブリエフは風に特化した能力を持つ。その為、陣も呪文も必要ない」
「隊長、その特化てなんですか?」
「エミル=ガブリエフ、お前は他の属性を生み出せるか?」
エミルは恥ずかしそうに顔を背けて小声で呟く。
「……できません……」
別に恥ずかしい事ではないんだが。
「そうですよ!この女は風しか生み出せない落ちこぼれですよ!?」
その落ちこぼれに今し方負けたのは誰だ?
「片倉 涼子、エミル=ガブリエフは風しか生み出せない」
「だからそう言ったでしょ!?」
「片倉 涼子、人は全ての属性を生み出す事が出来る。一つの属性だけしか創れないなんて事はない」
「だから……」
「私はエミル=ガブリエフと同じ特化型だ」
涼子の言葉を遮り私が話すと場が静まり返った。
「私は闇の属性だけしか生み出せない。
片倉 涼子、一つの属性に特化した者は容量さえ足りれば術など描く必要がない」
落ちこぼれと思ってたエミルが私と同じ力を持つと知った為か涼子は絶望した様な顔を浮かべる。
「……私はあの女に勝てないんですか?」
「そんな事はない。あき…最強と呼ばれる二番隊隊長は特化型ではない。
だが、現時点ではまず勝てない」
「そう……ですか……」
涼子は修練場から出て行った。
追おうとするエミルを止めアンジェラは耳元で何か囁く。
レイミは頭を下げ修練場を出て行った。
「青春だねー」
アンジェラは一人で納得して頷いている。
私は生徒達と教室に戻った。
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