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生徒達が先週より訓練にのめり込んでいるのは気のせいではないだろう。
エミルの急激な成長に皆が触発された様だ。
まぁ、他人が見たら遊んでる様にしか見えないが。
「へぇ、ならあなたの家はお酒を造ってるの」
「うん、結構有名でこの街にも家で造ったお酒が置かれてるよ」
踏みだいにしようとした涼子も訓練を受けている。
エミルとの対決の後私は涼子を一番隊に転籍させるつもりだったのだが……アンジェラに止められた。
エミルは三番隊の修練場でルナの指導の下、魔力制御の訓練中でいない。
私もレイミを連れて訓練に行きたいのだが……
レイミに力を見せる為に地形を変えた事で爺から始末書を提出しろと言われ今、書いている。
まさか、こんなに早くバレるとは……
「わっ!」
「なっ、なに!?」
夜でもないのに教室の中が真っ暗になりどこからか陽気な音楽が鳴りドアが開く。
ライトアップされた男が薔薇を加えて立っている。
「遅くなりました、隊長。あなたの!三番隊の!アンジェラの!」
クルクルと回転し教卓の前で止まる。
「みんなの、アレキサンダー=エリザベスが帰って来ました!?」
……。
生徒達は呆然としている。
アンジェラは見向きもせず雑誌を見ている。
私が話さないと行けないのか……
「相変わらずだな雅樹」
この男は私の部下の一人、坂本 雅樹。
長く伸びた灰色の髪、長身で細い体。顔は普通にしてれば……まぁ、美形なのだが……
「隊長!僕の名前はアレキサンダー=エリザベスです」
馬鹿だ。
「雅樹、火炎竜を倒すと言ってたな?」
「そうですとも!アンジェラこれを見てくれ!?」
そう言うと雅樹は紅く輝く人の頭程の石をアンジェラに見せた。
「アンジェラ!これが君が欲しいと僕にねだった火炎竜の瞳だよ!?」
なるほど、それで火炎竜を倒すと連絡が来たのか。
「それ、右瞳ー?左瞳ー?」
アンジェラは差し出された火炎竜の瞳を見もせずに言った。
「右瞳さ!左瞳は倒す時に傷つけてしまってね!?」
「じゃ、いらないー」
雅樹が固まった。
「私、左瞳が欲しかったんだー」
雅樹は崩れ落ちた。毎度、同じ展開になるのに何故、気づかないのか。
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