兵士のお仕事

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「……隊長。しばらく暇をもらいます……」 またか…… 雅樹はゆっくりと立ち上がりアンジェラを優しく見つめる。 アンジェラはそんな雅樹を無視して雑誌のページを捲っているが。 「アンジェラ。もう少しだけ……待っててくれるかい?今度こそ、君の望むモノを手に入れてくるから……」 アンジェラは返事しない。 だが雅樹はゆっくり頷いている。 今ので意思疎通が出来たのか? 「ありがとう、アンジェラ。隊長!では失礼!?」 「雅樹とやら!暫し待たれい!?」 晴斗がドアの前に立ちふさがり雅樹を止める。 待たれい……。晴斗、どこの生まれだ。 「君は?」 「俺の名前は木島 晴斗!アンジェラさんに恋焦がれる一人だ!?」 ……。 アンジェラを見ると私は関係ないと手を振る。 「ほう……。君程度がアンジェラを満足させる何かを持ってるとは思えないが?」 何を勝ち誇ってるのか……。 まぁ、容姿だけなら雅樹のが上だが、中身は甲乙つけがたいな。 「確かに……今の俺には彼女を満足させられる事なんて出来ない……だが!?」 晴斗は服を脱ぎ捨て全身に力を込める。 「いつか!この肉体で彼女に認めてもらい…添い遂げてみせる!?」 女生徒の何人かは悲鳴とは違う叫び声を上げた。 「……名前なんと言ったかな?」 「木島 晴斗だ!?」 「覚えておこう!木島 晴斗!」 雅樹はふっと笑い教室を後にした。 ……。 「アンジェラ」 「んー?」 雑誌を捲りアンジェラは空返事をする。 「とりあえず、それいらないなら報告ついでに持っていってくれ」 「らじゃー」 アンジェラは火炎竜の瞳を持って教室を出ていった。 「あの、宗谷隊長。あの人は本当に宗谷隊長の部下ですか?」 涼子が生徒の代表としてか聞いてきた。 「ああ」 「なんていうか……凄いですね」 確かに凄い。 色んな意味でな。昔はあんな奴じゃなかったのだが……。 (今日から僕は雅樹と名乗ります) 私がとやかく言える立場じゃないしな…… 「宗谷隊長の部下ってレイミを入れて五人ですよね?」 涼子が何を言いたいのかわかったので先に話す。 「安心しろ、燐は雅樹よりは真面目だ」 話しを聞いて生徒達はホッとしたようだ。 ……任務は真面目にしているから嘘は言ってない。
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