レイニィレイディ

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   翌日──相変わらずの嵐だった。坂上市を含む一体はやはり暴風警報が発令され、登校日の今日、それが中止にされた。もちろん部活もなし。学生にとっては朗報となる連絡が回ってきたその時も、僕は彼女が気にかかって仕方がなかった。  そして、強風の中、共働きの両親がそろって愚痴をこぼしながら職場へと出かけた後──昼間にさしかかった頃、ついに僕はいてもたってもいられなくなった。傘も持たずに嵐の中へと飛び出したのだ。  寝間着にスニーカー、ばしゃばしゃと滞留する雨水を蹴り上げ、ずぶ濡れでわき目もふらず、ひたすらに……。ひたすらに彼女が佇んでいたあの場所へ、僕は駆けた。  横から吹き付ける暴風を切り裂くように、力強く。前へ前へ。傾く街路樹の脇を懸命に駆け抜ける。飛来しては身を打つ水滴を砕き、雨粒に滲む世界を、僕の体が一直線に穿つ。  一蹴二蹴三蹴。回る脚。  まさかまさかまさか。回らない頭。  身体を動かす焦燥感が僕の思考を過熱する。熱い息と鼓動が加速していく。疾駆する我が身が深空ヶ原へ続く道に入り、それを右へと向けた瞬間だった。横風が追い風に変わった刹那だった。  いた!  いつもと同じ場所、同じ佇み方で、やはりぼうっと空を見上げている。傘も差さずひたすらに。昨日の彼女と寸分違わぬ姿で。まるで変わらない昨日の彼女がそこにいる。  ──なんで!?  駆けながら思わず絶叫があがった。  昨日のまま……、昨日のままじゃないか!  彼女は着替えていなかった。おそらくはずっと、昨日僕と話してから、ずっとあそこで。  ──どうして?  今まででも連日の雨は何度かあった。その時はちゃんと、違う服だったのに、今日に限って、なんで……、  ──何で帰ってないんだよ!  一言を吼えたところで、僕の最後の一歩。疾走を終えて、ついに彼女の傍らにたどり着いた。  
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