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とある春の学校の夕方。
キーンコーンカーンコーン
「気をつけて帰るように」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
あ~、今日も終わった終わった!
「大和、帰ろ」
「OK、聖夜」
俺、平凡な高校二年男子の黒崎大和は、鞄を持ってさっき声をかけてきた親友兼幼馴染みこと瀬口聖夜の元に向かった。
「瀬口君もう帰っちゃうの?」
「私達と遊びに行こうよ」
そう言ってクラスの女子達が俺を押しのけ聖夜の周りに集まる。
そして追いやられた俺は
ホロリ
泣くしかない。
まぁ、聖夜の容姿は、短め黒髪、キリッとした茶色い目、綺麗な形の鼻と口、シャープな骨格といった、かなりのイケメン男子。
身長も178cmでスタイル抜群。
おまけに成績もいいし、家が戦国時代から代々受け継いできた『一心月影流』という剣道場の次男で剣の達人。
文武両道といった奴だ。
親の教育が良く誠実な性格(といっても俺の前では素が出ている)。
剣道場ということで厳しいが、こいつは次男で家の後を継ぐ必要がなく、俺とは家族ぐるみで仲がいい事もあり、帰りが遅くなっても、俺とだったら問題無いそうだ。
中学の頃おじさんとおばさんにそう言われた。
と、説明したとおり道を通ったら女性は一回は振り向くほど美形で性格もいい、そんな親友兼幼馴染みを持つとさっきみたいに、クラスの女子達に押しのけられるのだ。
しょうがないといえばしょうがないんだけど・・・やば、また涙出てきた。
「大和、行こう」
「「「「「「瀬口君!待って!」」」」」」
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