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聖夜が何とか脱出して、急いで教室を出る。
これもいつものこと、聖夜が断ってもきりがなく、いつも何とか逃げ出して、一気に学校から離れる。
「あ~酷い目にあった」
聖夜は疲れたと言わんばかりにそうつぶやく。
「俺にとってはうらやましいかぎりだっつうの」
『このモテ男』と俺は不機嫌そうに言う。
さっきの言葉、世界中のモテナイ男が聞いたら袋だたきにされるぞ。
「だって俺好きでもない女となんか一緒に居たくないっていうかウザイだけ」
聖夜はまたも腹立たしい言葉を吐く。
しかも今は素だ。
こいつは、俺以外の前では誠実で完璧人間のような態度をとるが、俺の前だと誠実には違いないが、年相応の態度だ。
本人、親が五月蝿いし学校の先生も五月蝿いからだそうだ。
で自然に生徒達も素を知らずに完璧人間だと思いこんでいる。
俺の場合は、こいつとは赤ん坊の頃からのつきあいで、安心出来るからだそうだ。
「は~俺なんか普通の平凡顔だからいっつも女子に押しのけらるんだぞ」
「いや、お前の場合は頬が引き締まればかなり美形だと思うぞ?」
「また、訳の解らないことを」
「マジだけど。目は黒くてキリってしてるし、口も鼻も綺麗な形してんだから。髪型だって少し肩につくぐらいのウルフカットできまってるし。身長も180cmで俺より高いくて、おじさんに空手教えてもらってるから筋肉ついてるしスタイルいいって母さん言ってたぜ。後はこの頬を引き締めれば、お前も俺の仲間入りなんだよ」
プニプニ
最後は俺のプックラしている頬を片手でもみながら言う。
「お前俺のコンプレックスを!」
「わー、大和が怒った!」
「まて!聖夜!!」
俺はふざけながら逃げ回る聖夜を追いかけて行った。
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