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「さあ、座って」
「失礼します」
「手錠外して下さい」
私の両脇に座っている刑務官が手錠を外す
「今日は今回の事件に付いて警察署から上がって来てる調書を見ながら話を聴かせてもらいます。嘘偽りの無い様に話して下さい。
もし貴女が喋りたくない件があったら話さなくても結構です。それによって貴女が不利になるような事はありません。黙秘権と言う権利がありますからね…
しかし貴女が協力してくれるのなら、私も人間ですから貴女のこれから先の事について出来る限りの協力はするわよ」
「解りました」
なんだ女検事か。女は細かいし、陰険な所もある。ましてこんな場所に座って居るんだから、多分東大か京大のエリートコースの道を歩んで来た女で、男なんて問題にしない。
ましてや私の様なゲセンの女なんて、はなから馬鹿にしてかかって居るんだろう。全く頭に来る頭の良さを鼻に掛けて居るようだ。天は二物を与えないと言うがそんな事もない様だ。なかなかの美人でスタイルもなかなかだ。でも少女の頃から遊びも出来ず、毎日勉学に励んで実社会の汚れた部分も知らずに生きてきた人間に底辺を歩いて来た私の事なんかやかる筈がない。頭の程度は違ってるけど、こんな女に負けてたまるか…。
ふと顔を上げると
「話す気になった」
と言ったその顔は、綺麗な笑顔だった。
「さあ名前は?」
「白沢美穂です」
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