【彷徨】さまよう女

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新聞を見て自分の子供ってのが解ったと言ってました、良い事で新聞に載ったのなら良いけど、なんな事件で…今はお母さんに対して恥ずかしいと思っています、でもその新聞を見ていなかったら一生逢えなかったかも知れないと思うと…今はお母さんが見てくれて、良かったなと思っています、とんだ所に引き合わせる機会が生まれるなんて…でも本当に良かったは、今からは孤児じゃなくて私にもお母さんが居るんだと言える、それを大きな声で叫びたいぐらいです、この手紙を書きながらも夢じゃないかな?何んて思ってしまう程です」…それから由美や麗奈の事も書いて、私の胸の中の物も全部吐き出して書いてしまった、今までこの年齢になる迄、あちらこちらと、さまよい続けて来た人生を、便箋が何枚あっても足りない程、思いを書き綴った… 翌日の朝には 「差入れ」 と、舎房の前に台車が止まった、ドアーが開けられ昨日母が帰りに差入れて行った物品だ 「ええ、ええ、差入れですか?」 「そうです」 と言って、ハンカチ一枚、鏡一枚、森永ミルクキャラメル一個、明治の板チョコ一枚が差入れされた 「ええ、」
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