【彷徨】さまよう女

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「実は、昨日私の母親が面会に来たんです」 「ええ、お母さん…」 「そう何んです、39年振りにめぐり逢えたんです」 「へえ、それは凄いじゃないの、良かったはね、嬉しいでしょ、貴方もお母さんも」 「ハイ、面会室で二人で泣きました、逢う場所は悪かったけど、お互いの心は通じ合えました」 「そう良かったはね、お母さんにもそれなりの深い事情があったんでしょうね、解る様な気がするは」 「そして、このハンカチを差入れして行ってくれたんです」 「あら、良かったはね、大事にしないとね」 「ハイ、大事にします、何時も肌身離さず持ってる様にします」 「そう、そうしてあげてね」 「ありがとう、検事さん…」 「そうしてあげたらお母さんも喜ぶはよ、それに、貴方は孤児じゃなくなったのね、それが一番だは」 「ありがとう…」 何となく二人共目が潤んでいる 最初はこいつ嫌な女だと思ったけど、仲々情もあって人の気持ちも理解出来る良い女って事が最近になって解った、だからこの話を早く伝えたかった 「さあ、じゃこの前の続きに入るはよ」 「ハイ解りました…」
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