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「お母さんの馬鹿…せっかく逢えたのに…何んて事をしたの…信じられない」
もう母親が差入れしてくれたハンカチはぐっしょり濡れている、しばらくの間、顔を上げる事も出来なかった
刑務官がタオルを手渡してくれた
もうどうして良いのか解らない、自分の身体の持って行き場もない
「落ち着きなさい、この手紙は君宛の手紙だ、見閲管が私の所に持って来た、こういう場合には、私が本人に事情を説明してから手渡す事に成っているんだ、本当に君の気持ちは解るけど、舎房に帰って冥福を祈ってあげなさい」
「取り乱してしまい、申し訳ありません」
「良いんです、一杯泣けば心も晴れるから」
「ハイ、済みません」
「じゃこの手紙を良く読んでこれからお母さんの言ってる意味を理解して生きて行ってほしい」
「ありがとうございます」
と一礼して舎房に戻って来た
涙は止まる所を知らず頬を流れている
「馬鹿、馬鹿」
と、心の中で叫んだ、せっかくこれからだと言う時に…手紙の一節は
「美穂へ」…
美穂、私はお前にとって何もしてやれなかった、私に出来る事は生命をもって被害者に謝罪する事しか出来ません、こんな母を許して下さい、
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