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「そして私と貴女の二人で二人三脚。この問題を進めて行こうよ」
「ハイ、解りました。協力します」
「じゃ、今度の事件は貴女が主犯、他の二名が共犯者と言う事に間違いありませんね?」
「ハイ…間違いありません」
…この女、事件の話しになると目ん玉が狼の様に鋭く、何かを見透かす様に眼光を向けて来る。
さすがに女と言えど、この若さで正検事になってるわけだ。
銀座のクラブ辺りに出れば、たちまちナンバーワンの椅子に座る事になるのは間違いなしだ。
女検事にして置くのはもったいない様な顔をしている。こんな女の事を容姿端麗と言うのかな…
「貴女達の裁判は多分、分離裁判になると思うけど…」
「分離裁判って?」
「主犯格の貴女は一人。共犯者の二人は一緒と言う事」
「ハイ、それは別に構いません」
「まだ解らないけどね…共犯者の名前は?」
「青山由美と赤川麗奈です」
「今度の事件は貴女を含めて、三人の共同共謀正犯という事になるわね」
「いや…私が悪いんです。由美と麗奈は私に言われて手伝っただけです」
「でも三人でやった事に間違いはないのよね」
「ハイ…そうです」
「貴女が友達をかばう気持ちは、解るけど…それはそれで良いのよ。さぁ、昼食の時間だから食事をして、今日はこれぐらいにして、また金曜日に来てもらうから。色々と話してね…ご苦労様」
…刑務官二人に、その場で手錠を掛けられ、エレベーターに乗って地下に降りた。
検察庁の同行室に戻ると、大きなコッペパンと蜂蜜が渡された。
パンの皮が堅いから中だけ掘り出し食べた。
午後3時頃に番号を呼ばれた。
通称『青バス』に乗せられ、東京拘置所の女拘舎房に戻って来た。
由美もここに来ているが、会うことはない…。
また、合えない様にしている…。
麗奈は、まだ留置場に居るらしい。
今日は本当に疲れた。
由美に手紙を書くつもりだったけど、明日にしよう…今度は大失敗をしてしまい二人に迷惑を掛けてしまった。
共同正犯か…。
まったく二人に話さなければ良かったのに…
これも後の祭りか…
まったく嫌になっちゃうな…こんな汚い部屋で、これから何年暮らすのかと思えば、死んだ方がましかも…
今まで知らぬ存ぜぬの一点張りで、今日まで来たけれど、二人とも認めてるんだから。
いくら突っ張ったって仕方がないか…
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