縮まる距離。

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  「べ、別に……特になにもないわ。至って平和な毎日よ」 「そ、そう? なんだか顔が真っ赤だけど」 「えっ? き、気のせいよ」 「そうかな……? あ、先生が来たみたい」 次の授業の先生が教室にやってきたため、会話は途中で中断した。 「授業を始めます」 机から教科書とノートを取りだすと同時に、小さく深呼吸をした。 ……なんで、あの人の顔が思い浮かんだのかしら。 あの人…… 私のベンチを横取りしたあの男性。 ――彼と初めて会った日から一週間が経っていた。 あの日から毎日、私たちは公園で会話をするようになっていた。 .
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