初恋の君?

11/12
前へ
/56ページ
次へ
「あの……。 一体どこに向かってるの?」  なんだか住宅街から、にぎやかな表通りのほうに向かってる気がする。学校まで迎えに来て、私を乗せて、一体どこに行くの? 「知りたい?」 「そ、そりゃあ」 「……遥が昔みたいに、 “夏にぃ”って呼ぶなら、答えてあげてもいーよ?」 「なっ……言えるわけないよ!!」 「どうして?」  どうして、って。  だってさっき決めたから。 「い、色々とあるの。私には」 「ふぅーん、色々、ねぇ……」  と、道路を走っていた私たちの車がいきなり、ヴォンと音を立てた。その弾みで体が座席に引っ張られる。  え、どうしたの突然。  私の心配をよそに、車は路肩に停められた。ハザードランプがチカチカ点滅してる。  車を停めるやいなや、彼は私の方に体を向けて、目を合わせてきた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

448人が本棚に入れています
本棚に追加