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「あの……。
一体どこに向かってるの?」
なんだか住宅街から、にぎやかな表通りのほうに向かってる気がする。学校まで迎えに来て、私を乗せて、一体どこに行くの?
「知りたい?」
「そ、そりゃあ」
「……遥が昔みたいに、
“夏にぃ”って呼ぶなら、答えてあげてもいーよ?」
「なっ……言えるわけないよ!!」
「どうして?」
どうして、って。
だってさっき決めたから。
「い、色々とあるの。私には」
「ふぅーん、色々、ねぇ……」
と、道路を走っていた私たちの車がいきなり、ヴォンと音を立てた。その弾みで体が座席に引っ張られる。
え、どうしたの突然。
私の心配をよそに、車は路肩に停められた。ハザードランプがチカチカ点滅してる。
車を停めるやいなや、彼は私の方に体を向けて、目を合わせてきた。
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