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「どうして唇が湿ってないのかな、遥?」
「……」
「うがいしたんでしょ?」
「……」
降参したい。
けど、今口開けたら…………色々とヤバそう。
「そんなに俺にキスされたいの?」
な、なに言ってンだぁこの人はっ!!
私が目を見開いて固まったから、夏にぃはクックッって喉の奥で笑って。
そして唇から手を放し、そのまま親指をペロッて舐めた。
その行為に私はまたさらに目を見開いた。
「やっぱり面白いなぁ、遥は。キスだけでそんな反応して」
「キスっ……してないしっ」
声を絞り出してそれだけは言った。あとは、もう尋常じゃないくらい、心臓バックバク。
「あ、間接ちゅう、か」
夏にぃはなんだか納得したみたいな感じで一人頷いて、眼鏡をクイッと上げた。
それから、いきなり顔を覗き込んでこう言った。
「今度、嘘ついたら、間接ちゅうどころか、激しいのが待ってるから」
ハイ。
私の脳内、シャットダウン。
「あ、やべ。
レタス水に浸すの忘れてた」
固まってる私をよそに、彼はまたキッチンでの作業を再開した。
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