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「こんにちは」
その女性はニッコリと微笑んだ。
「ようこそ、天国へ。
こちらはタマシイご案内センターになります」
いかにもマニュアル通りといった感じで彼女は続けた。
「こちらにいらっしゃったという事は、ご自分が死亡なされたと認識され、成仏を希望されるということでよろしいですね?」
成仏か…。
いや、大丈夫だ。
僕は頷いた。
「承知いたしました。では書類を用意しますので少々お待ちください」
女性がカタカタと横のコンピュータを操作すると、机の上に一枚の紙が召喚されたように現れだした。
ビビビ、みたいな効果音がつきそうだ。
おいおい。随分、天国ってハイテクな…。
「佐藤直也様ですね」
受付嬢は書類から顔をあげた。
「あっ、はい」
仕組みはよくわからないが僕は返事をした。
「こちらの書類には生年月日はもちろん、家族構成、人生記録なども記載されていますので、ご確認ください。
間違いなどがなければ、次の部署に移動していただきます。
佐藤様は『ヒト』の未成年でいらっしゃいますので、4番になります」
僕は紙を受け取った。
紙には細かい字とグラフでびっしりだ。
人生記録の一番下には、殺害され死亡、と記されている…
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