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※※※
ともすれば絞め殺されそうなぐらい腕をきつくぼくの首に絡め、汗ばんだ額を肩口に委ねてゆっくりと腰を沈めてゆく。欲情が丸裸になった吐息の温度は布越しにくすぐったい。
結合がより深くなるのに比例して大きくなる、肉が裂ける生々しい音。速水の切なげな悲鳴。
「――…………っ、は、ぅっ、ゃぁぁあ……っ!」
慣らさなくて良い、速水は頑なに言った。出血して大変だからとくどく言い聞かせるも、頭(かぶり)を振るばかり。揺るがない意志を象徴する潤んだ切れ長に鋭く射抜かれ、頬に冷えきった手が添えられた。
――欲しい。お前だけが欲しい。お前だけが欲しくて欲しくて…堪らない。
寒さからなのか、はたまた別の理由からなのか。彼の唇はぶるぶると細かく揺れている。お陰で声まで震えているから、ぼくは速水が本気で怖がっているのかそうでないのかを少し、判別しかねた。
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