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「ん……いまいち。」
「そんなことないよ。」
「うわぁ!!ビックリした!!」
気づけば2人はソファーで繕いでいた。
「どっから入ったの!?」
「優希の寝室から。
ベランダ繋がってるし、開けっ放し。」
換気して閉め忘れてた……
「さっきのは悪くないが、極端だ。
感情を入れたいなら1つに絞れ。」
「それができないから模索してるの!!」
「だったら考えろ!!
優希が夢を掴んだとき
何を思い、何を考え、
どうしてステージに立つのか!!
俺は中途半端なお前の夢に
ついてきたつもりはない。」
そう言って奥の客室に入っていった。
「晃って私のこと嫌いなのかな?」
「違うと思うよ。
優希にならできると思うから
きつく言ってるだけ。」
「そうには見えない。」
「いつか分かるよ。
さて、そろそろ寝る?」
「寝ない。
悔しくて寝れない。」
「じゃ晃ほどはうまくないけど、
ギター弾いてあげようか?」
「うん。」
私は自分の部屋からギターを持ち出し
圭吾に渡した。
「ここでやってたら怒られるかな?」
「心配なら僕の部屋でやる?」
「そうする。」
私の隣の部屋が圭吾の部屋。
木目調の家具、緑中心の家財。
入るのは初めてじゃない、
でもいつもドキドキする……
「ねぇ、圭吾って緑好きなの?」
「緑が好きと言うか、自然が好き。
できれば観葉植物を置きたいけど、
滅多に帰ってこれなくなると
枯れるだけとか可愛そうでさ。」
「そっか。
じゃ自然について歌ってみようか。」
「いいよ。」
「じゃメロディーは茜で。」
「了解。」
茜、藍、紫、緑、桃、菊、桜、桃。
それぞれギターコードの基礎を
みんなで決めて暗号化して、
即興したいときによく使っている。
「テンポはスロー、サビはロー。」
説明を積み重ねて曲を積める。
「じゃそんな感じで。」
「分かった、じゃいくよ。」
「うん。」
ギターはぎこちなく語りかけてくる、
それに答えるように私は歌う。
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