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「千代美!!!自分でなっ
「ちょっと待って圭吾...
ちょっとだけ...ねっ。」
怒鳴りつける圭吾の手を取り
私を庇うように宥め私をまっすぐ見た。
「貴女の場所は私の立ち位置の話?
それともこの状況での話?」
「どっちもよ!!」
目つきが変わる優希さん。
「じゃ藤岡さんは、みんなを裏切り、
突然姿を消すの?」
訳の分からない言葉。
「そんなこと絶対にしない...」
「じゃ私の位置は貴女の位置じゃない。
確かに昔はこれが当たり前だったけど、
今は違う、薺の名をもつのは私じゃなく
貴女じゃない。
この場所はいなくなる者の場所よ。」
「だったら今すぐ出ていってよ!!
汚れてた分際でみんなの気持ち
持て遊ばないで!!」
優希さんの瞳はいまだにまっすぐ私を
見ていて、何でだろう..私は悪くない
はずなのに...怒りじゃなくてこんな
雰囲気にした自分に後悔し始めている。
「それもそうだね。
遊ぼうと思えば、可愛い顔をして
昔の話をして笑ってれば皆は
私を一人にはしないだろう。
だけどさ、それじゃ意味がない。
私の居場所はここじゃないし、
帰りたい場所に帰れる条件として
頼まれたから引き受けた。」
「嘘よ……。」
「本当よ。」
美里が口を挟んだ。
「だったら何だって言うのよ!!」
「これは私達なりの別れの仕方。
永遠の別れじゃなくても、
突然の別れを余儀なくされた私達は
毎日のように後悔してた。
引きずったままで薺と顔を会わせて
仕事をするのは嫌なの。
貴女をボーカルとして認めてるからこそ
今の仕事が終わったら優希をちゃんと
元の生活に戻してあげる為に一つずつ
優希とやりたかった事、行きたかった
場所に行ってるだけなの...」
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