愛を歌えば

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「shinesのボーカル薺は千代美。 優希は関係ないんだ。」 圭吾は私の両手を優しく握りしめた。 「ほ...んと...?」 「君に誓って。」 トクッ 胸の辺りがじんわり暖かくなって、 気がつけば目の前は霞んでいた。 「僕達が必要なのは千代美の歌だよ。 確かに優希ばかり構って君を一人に したかもしれない、だけどそれは 期限つきの話だから僕たちは少しだけ 焦っていたのかもしれない。 ごめんね。 君の気持ちに気づいてあげられなくて。」 欲しかった言葉と圭吾の温もり。 「ごめんなさい...」 やっと言えた本音は、15の私は子供 なんだと自分から主張しただけ。 みんなの輪に入りたいと願っていた私は すでに、みんなの輪の中に入っていた。 「ごめんなさい...」 「もぅ君が苦しまなくていいんだ。 これからは僕たちにも本音を… 言いたいことがあるなら話してね。」 「分かった…。」 恋をしたはずなのに恋人になりたくても なれない苦しみ、そして、そんな枠に 捕らわれなくても、恋人のように一緒に いられる関係を知った。 圭吾の口癖 音楽で繋がった家族なんだ... 時に嬉しそうに 時に悲しそうに 意味が分からなかった私は、 そんな絆認めようとしなかった。 偽装家族なんて虚しいだけで、 そんなものより、恋人になりたくて ずっと傍にいたかった私は、 圭吾に本音を話せないままいた。 だけど、優希さんは違った。 どんな絆でさえも大事にし、 私ならけして誰も立ち入らせない 世界にでさえも、簡単には踏み込ませ 自分をさらけ出していつでも… みんなと正面からぶつかっている。 みんなは分かってたんだ。 優希さんがここに帰ってこないこと、 私をちゃんと認めてくれていた。 私一人で何やってんだろう。 私の居場所はちゃんと みんなの傍にあったのに…
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