はじまりのうた

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「どう?」 2人は楽器を置いた。 「イメージが違う。」 晃の一言。 「応援歌にしたいのか?」 「うん……」 「じゃ言葉を気を付けろ。」 「む……っ……」 「難しく考えないで、もう一回歌う?」 「ちょっと考えるからほっといて。」 「分かった。」 回りを気にしないでピアノに向かう。 何度も引くけどテンポが気になる、 けど、勝手に変えると怒られる…… だけどイメージが掴めない…… 「飲むか?」 「うん……」 コップを貰って一口。 「美味しい。」 「圭吾がさっき作ってた。 どうした?煮詰まりでもしたか?」 「ちょっと。」 「俺らのイメージは、 この街で夢を追いかける君へ。 田舎暮らしもいるだろうし、 ここでずっと暮らしている人もいる。 そんな人の夢がなぜかここにあって、 人を蹴り落として、我が道を求める。」 「誰かを蹴り落としてまで 私は歌いたくない。」 「でもそれが現実。」 現実……私はまだ15なのに、 そんなこと言われても経験不足…… 「それか、愛でも歌うか?」 低音で優しく耳元で言われると、 恥ずかしすぎる。 「何の話?」 圭吾が後ろから抱きついてきた。 「歌のイメージの話。」 「それにしては顔真っ赤だよ。」 両手で顔を隠すも遅し、 「歌うから2人ともあっちいってて。」 2人をベランダに追い出して 鍵を閉めて、再びピアノに向かった。
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