愛を歌えば

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~千代美 side~ 宮川優希 みんなのお気に入り、 あんたなんかに 私の居場所 絶対に渡さない。 私はモデルとして5歳で芸能界に入り、 15歳で女優の道を歩きだした。 女優を目指して間もない頃は、先輩から イジメとか嫌がらせなどで何度も挫け そうになって、あの日は確か楽屋前の 廊下で座り込んで泣いていた。 「大丈夫?」 顔を上げると、貴方はそっとハンカチを 差し出してくれて涙を拭ってくれた。 「元気だしなよ。」 私に優しい声をかけてくれた。 そんな高橋圭吾に一目惚れした私は、 圭吾と同じステージに立つ事が目標で、 女優志望から歌手に変える為、毎日の 努力を怠ることなく、レッスンを重ね、 オーディションで掴み取った私だけの shines futureボーカルの座。 「初めまして、今回新しくボーカルに 選ばれました藤岡千代美です。 精一杯頑張りますので、皆さん、どうか よろしくお願いします。」 初めての顔合わせの時、マネージャーと 頭を下げ、恐る恐る見た。 すると――― 圭吾の瞳は背筋がふるえるほどとても 冷たく感じたけど、次の瞬間からは皆、 笑顔で迎えてくれた。 「ようこそ、shines futureへ。」 その日からというもの、今まで以上に レッスンを重ねて薺という名前を貰って 少しずつ仲間になれたと感じたある日、 「今日の夕方にautumnに行けば、優希が いるかも...しれない...」 圭吾の一言でのんびりとした雰囲気が 一変、少しピリッとした緊張感が漂う。 「優希って誰?」 晃に聞いてみると、 「そのうち分かるさ。」 楽屋にあった新聞を見ながら言った。 それから行き当たりばったりなりにも autumnへ向い店に入ると、みんなわざと らしい会話を始めた。 そして――― 「君から運命を学んだ。」 私には分からない2人を繋ぐ言葉に、 底知れない怒りが沸き起こり、しかも、 圭吾は優希さんを抱きしめた。 愛しい人なんだってすぐに分かった。 切なそうな目をして、 大事な者を壊れないよう、 でもけして離れないように、 ぎゅっと抱き締めていた。 目の前で起こっている出来事に、頭が 着いていかないのに、ハッキリとした 憎しみだけが渦巻いていた。
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