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次の日、朝一に起こされ、仕事に行き
圭吾と晃が瑞希さんと話し合った結果、
優希さんを今回撮影される新曲のMVに
出すことが正式に決定した。
当の本人はまだホテルで眠ったまま。
勝手なことをする2人にイラつきながら
ホテルに帰ると、昼からの撮影に備えて
もう一度眠った。
ワタシノイバショガナクナルヨ
いつも以上に歌わないと、
ちゃんと歌わないと、
いらないって言われる。
アノコガワタシノバショヲ
ウバッテイクヨ...
それだけは
それだけは嫌―――
ハッ...
はぁ...はぁ...
夢から覚めて飛び起きると、横にはまだ
寝息をたてる美里さんがいた。
「ふぅ...」
考えながら寝ると現実味を帯びない夢、
悪夢がまるで背後からそっと私を飲み
込んでしまうかのように頭の中で何度も
繰り返す。
ワタシノイバショガナクナル
ワタシノイバショガナクナル
アノオンナ
ゼッタイニユルサナイ
「おい、まだ寝とんか?」
卓さんの声で我に返る。
「ううん、美里さんだけが寝てる。」
けだるい体を起こしてリビングへ行き、
いい匂いに囲まれたキッチンには昼食が
できていた。
「あれ?圭吾は?」
「寝るからおこさんといて、ってさ。」
「ふ~ん...」
「晃と優希ちゃんは現地集合やさかい
「ねぇ、優希さんって圭吾の何?」
突然の質問に驚いた卓は、私の頭を撫で
ながらおどけたように笑った。
「恋なんやろな。」
「でも、今の優希さんには彼氏がいるん
でしょ?」
「それだけじゃ諦めれん恋や。」
私なら圭吾一途なのに...
「それって本気って事?」
「本気...なんじゃろな。
圭吾は昔から時々、危うくなる。
体調面、精神面、この2つが壊れると、
仕事ができんようなるんは分かるな?」
「うん。」
「人には必ず他人が踏み込ん心の領域が
あり、そこはとても繊細な場所。
圭吾はその場所を優希と居ることで、
自分を保ち続けてきた、って事はや、
優希と再会したアイツは自然に彼女を
求めてるんやろな。きっと。」
「優希さんの代わりぐらい居るのに。」
腑に落ちない私は、ホットケーキに少な
からず八つ当たりしていた。
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