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「足速過ぎ…」
あっという間にセシルは先に行ってしまった、俺も急がなければシェルが帰って来てしまう。
シェルは用事があると言って出掛けている、しかしいずれ帰って来るだろう。
廊下を走っていると奥に地下に続く階段が見えた。
横に立て札があり「命が惜しくば入るべからずですわ」と書かれていた。命は惜しいが男として…いや、世界中の同志達の為に引き下がるわけにはいかない。
「我命、チェリーの為に」
今一人の勇者が勇気ある一歩を踏み出した、瞬間…
落ちた。
その頃セシルは
「結構期待してたのにベタな罠ばっかりでつまんないです」
難なく罠を掻い潜りながら進んで行くセシル。
矢が飛んで来たら軽くよけ、玉が転がって来たら拳で砕き、天上が下がって来たら軽く持ち上げる。
流石、暁の守護天使と言った所だろうか。
ギルドには二つ名と言うものが存在する、選ばれた者だけにそれは授けられる。
シェルなら朧の月姫、ノイなら忘却の旋律師、という具合だ。
セシルがぼやきながら進んでいると少し広い所にでた、中はドーム状になっていて周りには鎧が無数に立っていた。
「まさかあの鎧、動いたりしないですよね?」
ガシャン
鎧が一斉に剣を抜き構える。
はぁ~イベントフラグを立ててしまったです。
そう心の中で呟くそして
「ちょっとだけ魅せてやるです…」
セシルの身体を炎が包む、それは収縮し拳に集まる。
収縮された炎は圧縮され形を形成する、クローブの様に拳を守るそれは炎を纏い、岩も楽々砕きそうな硬質感があった。
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