本編

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会場は歓声に包まれていた。 たった一人の少女に向けられる歓声。それを一身に受ける少女。 マイクを手にした少女は、大きな声で叫ぶ。 「みんなー! 今日はありがとーっ!」 少女の声と同時に湧き上がる会場。少女の表情は笑顔で満ちあふれていた。 数年前のあの日、春香が夏樹に言った事はこうだ。 『親を説得して、そして私が売れたら、その時は一緒にあの曲を歌ってください』 春香は、夏樹の歌っていた曲を知っていた。それは彼女が幼い頃、テレビで流れていた曲だった。 八雲夏樹。その歌唱力と勤勉な性格が受け、大ブレイクするも、その数年後に引退。ブレイクしたことがプレッシャーになったとのことだった。 そして、春香はそれを思い出し、夏樹に交換条件を提出したのだった。
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