第1章 卒業

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はっとして振り返ると、背中合わせに置かれたベンチでうなだれている女生徒の姿が目に入った。 一瞬ためらったが、声をかけてみた。 「あの・・・」 するとセーラー服を着た華奢な女はぴくりと肩を震わせ、ゆっくりと上体を起こしながら、こちらを向いた。 「大川君・・・?卒業式の最中だよ。こんな所で何をしてるの?」 自分のことを棚に上げきょとんとしている彼女の名は桜子。 同級生の小川桜子だ。
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