第1章 卒業

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三年生になって初めて同じクラスになったが、成績やスポーツが際立って得意な訳でもない。 クラブ活動とも無縁な彼女は、俺の中での印象が極端に薄い。 ただ彼女に対して一つ印象的だったのは、いつも一時間目の授業が終わると早弁していたことくらいである。 おさげ髪で痩身の彼女が、 朝から弁当を食べている姿に、 俺は微笑ましさよりも、奇妙さを感じたものだった。 その彼女が 「あっ、そうだ!」と言って一方的に続けた。 「ねぇ、大川君。私の代わりにパチンコを打ってくれない?」
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