2219人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
聡史の顔がちょっと険しくなる。店長と盛り上がってるんだから、別に私が帰っても問題ないじゃん。
でも一応、申し訳なさそうな顔で店長には頭を下げた。
「残念だけど、また。」
財布を出すと、聡史がそれを制した。
「今度奢ってくれ。」
「…分かった。」
私が立ち上がると流れるような動作でカウンター内から出てきた駿君が扉まで誘った。
扉を優雅に開けた駿君が自然な流れで私の耳元に唇を近付ける。
「よそ見せず真っ直ぐ帰ってね、美佳子さん。」
「駿君こそ…」
私が軽く睨みを利かせると駿君は微かに笑った。
「だから、来なければ良いって言ったに。」
扉から出た私に引き続き、外に出た駿君の背中で扉がパタンと閉まる音。
最初のコメントを投稿しよう!