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「マラソンにでも出るんですか?」
「いえ、別に。」
「とても良い走りだったから、出るのかと。」
「また機会があれば…」
では、また何かあれば呼んで下さいと松原君は笑顔で去って行った。
正直、ホッと溜め息が漏れた。
どうも人と話すのは苦手だ。
バイトなら接客は楽しいが、プライベートだと他人と話すのは億劫だ。
それが男性でも女性でもあまり関わりを持ちたくない。
友人は少なくても濃い関係を築ければ良い。
…さぁ、帰るか。
私はロッカーに向かった。
私の後ろ姿を松原君が見ているとは気付かずに。
………
「美佳子先生、美佳子先生!」
耳元で可愛らしい声がする。
我に返ると目の前には心配そうな美月ちゃんの顔があった。
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