1.

6/18
2219人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
「マラソンにでも出るんですか?」 「いえ、別に。」 「とても良い走りだったから、出るのかと。」 「また機会があれば…」 では、また何かあれば呼んで下さいと松原君は笑顔で去って行った。 正直、ホッと溜め息が漏れた。 どうも人と話すのは苦手だ。 バイトなら接客は楽しいが、プライベートだと他人と話すのは億劫だ。 それが男性でも女性でもあまり関わりを持ちたくない。 友人は少なくても濃い関係を築ければ良い。 …さぁ、帰るか。 私はロッカーに向かった。 私の後ろ姿を松原君が見ているとは気付かずに。 ……… 「美佳子先生、美佳子先生!」 耳元で可愛らしい声がする。 我に返ると目の前には心配そうな美月ちゃんの顔があった。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!