物語の始まり、いわゆるプロローグ

6/44
前へ
/84ページ
次へ
 そもそも、僕達がなんでこんな関係になったか……成り初めをお話ししよう。誰に話しているのかは謎である。  ――そう……あれは約1年前の帰りのホームルームの時の出来事であったか…………(遠い目)  僕と美華がまだなんの関係もなかった時。僕は友人(僕が個人的に友人と思っているだけで、向こうもそう思っているかは定かではない)と一緒に教室で話していた。  そんな時どこからか美華が現れたのだ。うつむき、フラフラとしながら。  美華はクラスで少し浮いていた。誰ともあんまりつるもうとしないし、女子限定で話をすれば、周りより郡を抜いた容姿からくる嫉妬というのもあったのだろう。  そんな美華が1人でいるのはさほど珍しくない。うつむき気味なのもいつも通りだ。だけど、フラフラってのは少し違和感があった。普段ならしっかり真っ直ぐと歩くからな。  それと、自ら人のかたまりに近付くのも珍しい。  間の抜けて鼻水垂らした顔でそんなことを思考しながら、僕らの間を美華が通り抜けようとした時だった。  急に美華が体勢を崩し、そのまま僕の胸に倒れ込んできた。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加