幻想入り

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事の始まりは些細なことだった。 いや、そんな事は俺が生まれてから直ぐに両親を無くした頃から始まっていたのかもしれない。 それから俺は、世界がどう廻っているのかとか世界の偉人が残した世界遺産の事も判らず、ただまるで空気を吸うかのように人間を殺す方法ばかり考えていた。 最初は自分が自分であるのかさえ疑い驚いた。 しかし気付いてしまった。 自分が異常な事に そして、目覚めてしまった己の中に眠っていた殺人衝動を。 俺には兄が居た。 兄は何時も俺を心配していた。俺の行動を、思考を、衝動を、最後には俺自身を心配していた。 最初に殺したのは街ねチンピラ達だった。 只空き瓶で1人を殴りつけて瓶の破片で刺し殺し、他の奴らは鉄の棒で殴り殺した。 その日から、兄を捨て独りで生きて行く事を決めた。 その時俺は中学2年の春だった。 家を出てから日本中いろんな所を巡りながら独りで暮らせる土地を捜すようになっていた。 その時には数えられない程の人間を殺していた。その中に実の兄が入っていた。 兄は最期まで俺の心配をしてくれていた。 兄を殺してから俺は人間を殺すのを止めようと決めた。 それから人間との関わりを少なくして過ごしていた。 そして18になったある日、俺の中で異変が起きた。 殺人衝動が全く抑えられなくなった。
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