第3章~初体験

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以前手術したところに感染症が見つかり、それを除去する手術を受けた患者だった。 足は両方足首から先が腐り、浸出液はシーツまで達し、異臭を放っていた。 その患者の足から感染が起こらないように消毒し、新しい包帯を巻いた。 すでに歩けなかったが、歩きたいと何度も言われ、切ない思いをした。 痛みに耐える姿も痛々しく、見るに耐えなかった。 無事に勤務も終わり、いつものように何日か日は過ぎていった。 ある日、朝、勤務に行くと、その人は、感染症ベッドに移されていた。 敗血症といぅ感染症にかかったと、先輩に聞いた。 私は別の受け持ち患者の仕事を定時で終わらすことができ、そのヒトの病室を訪れた。 家族が呼ばれ、医師と相談のうえ、これ以上の治療はしないと決まった。 その日の夕方、その人は永遠の眠りについた。 遥奈にとって、初めて対面する『死』だった。
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