第1章~指導

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手術を受け、病棟で管理されているヒトを受け持つ。 遥奈が配属された時、 手術を受けてからもぅ1ヶ月以上も入院している患者が、4人いた。 だいたい毎日、入れ代わり立ち変わり その患者を新人と指導者が看ることが多かった。 朝、全体の申し送りが終わり、 受け持ちの患者のベッドサイドで夜勤からの申し送りを受ける。 血圧変動しやすく、 ドーパミン依存傾向、 薬取り替え注意。 不整脈あり。 腹音微弱。 下血あり。 痰多い、吸引頻回。 ……… かなりの量の申し送りをされたが、 聞き取ることすら難しい単語が並ぶ。 申し送りのあとは、 ダブルチェックをする。 患者氏名、 人工呼吸器の接続に設定、輸液の時間量、 輸液がつながっている部分の弛みがないか… 確認作業だけで軽く30分を超える。 夜勤の人が帰ったあとは、 患者の全身チェックをする。 肺音、腹音を含め、 床擦れはないか、 輸液漏れはないか、 尿量はどのくらいか… 薬の残量もチェックしておかないと大変なことになる。 そして、1時間ごとのバイタル記録。 もちろん、自身が行ったことも記録する。 その頃には毎日、胸のレントゲンを撮りに技師が回って来る。 そして、必ず2時間以内に1度は、 動脈血採血をし酸素濃度や血糖、 カリウムなどの値をチェックして、 正常異常の判断をし、 異常があれば、 医師の指示を受け、 薬液投与を行わなければならなかった。 1日にやることは多岐に渡る。 身体拭き、歯磨き、洗髪、手・足浴、体重測定… これだけで手いっぱいだが、 忘れてはならないのが、 薬の交換。 微量ポンプ=シリンジポンプの交換は、かなり難しい。 暇があれば練習しろと言われ、 テストを受け、合格した人から、 シリンジポンプの薬液の交換ができる。 薬液の交換にかかる時間は遅くて10秒だ。 血圧の薬だと、3種類の交換の仕方があるが、 失敗は許されない。 1秒遅くなるだけで、患者の血圧は60以下まで低下する。 特に、注意と言われていただけに、 緊張して望んだ。 が、緊張するとできなくなる。 患者の血圧が下がり、冷や汗をかいた。
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