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「いじめてなどいません!そ、それに好きだなんて・・・・・・。」
カナリアは赤面しながら何かゴニョゴニョ言っていた。
「父上、そろそろ朝食にしませんか~?僕達も学校ですし、父上も仕事がじゃないの~?」
笑顔でキリアが言った。
「ふむ、そうだな。よし!ご飯にしよう。」
国王は席に着き手を合わせた。
「いただきます。」
国王にならい、アスール達も手を合わせる。
「「「いただきます。」」」
するとメイド達が朝食を運んできた。
並べられた料理はどれも至って普通の朝食だったが、素材や原料はどれも王国一の良質な物である。
アスールは目の前にあったパンを取り、一口齧った。
「相変わらず良い麦を使ったうまいパンだな。」
「これから毎日これを食べるんだぞ?」
カナリアは機嫌よさそうに言った。
「…・・・了解しました、カナリア姫。」
アスールは皮肉をこめて姫と呼ぶ。
それは効果があったようで、カナリアは頬を膨らませた。
「次は本当に国外追放するんだからな…・・・。」
カナリアの睨みを、アスールは知らんふりをして食を進めた。
「相変わらず仲がいいな二人は!そのまま結婚してはどうだ?ん?」
国王が言った言葉にカナリアは口をパクパクさせていた。
「カナ、声が出てないよ~?」
キリアが笑いながら言うが、カナリアはなおもパクパクしていた。
「アスールはどうだ?なかなかお似合いだと思うが?」
国王が意地の悪い笑みを浮かべながらアスールに言った。
アスールは苦笑しながら答えた。
「無理ですよ、カナは王族で俺は平民です。身分が違うんですから。」
その言葉にさらに笑みを深めて国王が言った。
「では身分が関係しなければカナリアと結婚しても良いと?」
「い、いや、そういう事ではなく…・・・。」
アスールがしどろもどろになるのを見てキリアが追い打ちをかける。
「じゃあアスールはカナが嫌い~?」
「嫌いではないが・・・・・・。」
「じゃあカナの事は好き?」
ニコニコ笑いながらキリアが尋ねる。
「それは・・・・・・」
アスールが言うのを躊躇っているいると、いつの間にか復活したカナリアがバンと机を叩いた。
「ももももうこの話は終わりだっ!いいなアスール!?」
顔を真っ赤にしながら鬼のような表情のカナリアを前に、アスールは頷くしかなかった。
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